ちょっと世間知らずなお嬢様が共学の学校に転校して好きな男の子ができた

香子お嬢様、ご友人を家にお招きする

　私が杏凪さんと凪紗さんに勧誘して何のメリットがあるのかしら?
　「あんた井上喜久の姉でしょ?　あの芋臭い奴の姉だから、あんたも似たような感じだと期待してたけど、全然違うね。まず、話し方が違うね。挨拶がごきげんようなんて、漫画の見すぎじゃない?　同級生敬語なんて、どっかのマダムみたい。ねえ、本当にあいつの姉なの?　血がつながってないんじゃない?」
　杏凪さんは嘲笑するかのように鼻で笑う。
　「杏凪、井上さんに失礼すぎるよ!!　もう帰って!!」
　凪紗さんが強めの口調で言う。
　それに私と喜久が実の姉弟ではないのは本当だ。
　否定できない。
　喜久は中学受験合格直後にご両親が事故で亡くなられた。そこで私の両親が引き取ったが、私と喜久は両親と仲違いして今祖父母の家から通っている。
　杏凪さんに散々な言われよう。
　ホストがこんなのじゃダメだ。
　私は必死に唇を噛み締める。