香子お嬢様、ご友人を家にお招きする

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 「――これ以上たかねえの悪口言うのやめろ」  カジュアルスタイルの喜久がリビングにやってきた。  飲み物をとりにきたのだろう。  「喜久、聞いてらっしゃったの?」  「階段降りてたら聞こえたよ」  喜久は呆れた口調で呟く。  「久野さん、こんにちは。井上喜久です」  喜久が挨拶に対して凪紗さんが「よろしくね」と頭を下げる。  「芋臭い奴の割にはオシャレね」  喜久に挨拶せずいきなり見た目の感想を言う杏凪さん。 「芋臭いうるさいんだよ!! 俺は井上喜久という名前がある。たかねえの悪口これ以上言うな」 「お姉さんもあんたも名前がダサいね。田舎の権力者の名前みたい。お姉ちゃん庇っちゃうなんて、あんたシスコン?」  クスクスと笑う杏凪さん。 「杏凪さんはハッキリとされた方なのですね。羨ましいわ。初めてお会いした方に私と喜久のことの何が分かりますの?」
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