香子お嬢様、ご友人を家にお招きする

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 喜久と滝の森学園に入ってお互い慣れない環境ながらも、馴染もうとやってきた。  今まで身についた話し方や所作で"マダム"とからかってくる人、「お高くまとまってる」とか「上品ブってる」とか「アニメの真似? 痛々しい」って陰口を言われるのはある程度分かっていた。  傍から見たらそうに見えるから。  でも私の周りではそれが当たり前だった。  私は紫桜学院のノリをそのまま持ち込んで、滝の森学園のノリに合わせきれてないのだ。  私が滝の森学園に行こうとしたのは、自分の狭い世界で完結するのが怖いから。  "世間知らずのお嬢ちゃん"でいたくないから。 「杏凪、あんた最低ね。井上さんに失礼でしょ!! さっきから何回も言ってるけど!!」  「えー、事実じゃん。言われたくなかったら、それ相応の努力すればいいだけじゃん。馬鹿なの? おねーちゃんも物好きね、こんなババアみたいな話し方する人と仲良くなって」
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