冷たいあの人

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「娘さん、いかがでした?」 「おかげさまで。違和感もすっかりなくなったと、安心していました」  何よりでございますとお辞儀しながら、スーツ姿の男は、手にしたパンフレットを彼女に見せた。 「ネオヒューマノイドを最新版にアップデートできるプログラムがございまして――」  彼女はパンフレットに視線を落としながら、「でも、せっかく体温再現のプログラムを組み込んでもらったばかりだし」と、軽く難色を示す。 「体温? あぁ、正孝さんの件ですか」男は小刻みに首を横に振った。 「正孝さん用ではなく、奥様のご主人用のプログラムでございます」 「あら、ごめんなさい。つい勘違いしちゃって。確かに、購入してから随分と年月が経っちゃったものねぇ。そういえば最近、もの忘れも(ひど)いし、体力の衰えも激しいみたい――」  男はパンフレットの価格表を指差しながら言った。 「でしたらこの機会に、ご主人のプログラムもアップデートいたしましょう!」
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