ネームレス・ウエディング

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 次に彼女がコンビニに来た時、彼女は彼女よりちょっと年上そうな男性と一緒だった。  彼女はまたいつものルージュを唇に引いていて、優し気なその男性と穏やかに談笑しながらゆっくりと店の中を見て回ると、コンビニスイーツと鮭おにぎりを二つずつ買って行った。その日、彼女はタバコを買わなかった。  それからというもの彼女はよくその男性と二人でコンビニに訪れるようになった。  たまに一人で訪れる日はあっても、もうタバコを買って行くことはない。  二人でじっくりと選び抜いて、時にはポテチだったりケーキだったり、タピオカを買って行ったりサンドイッチだったりと前の頃とは違って実にさまざまのものを買って行った。  彼女は幸せそうだった。  そんな日々がしばらく続いた。
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