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菫ちゃん、ちょっと良いかい?この梶浦山の辺りで、楕円形の光りが飛んでいるのを見た事はないか?
あるある、あります。この梶浦山の山系に属する山麓の村の喫茶店に行った時。オーナーが一枚の写真を見せてくれました。
天狗の鼻の写真です。
怪談ーー天狗の鼻ーー菫
沈む夕日をバックに、木立から伸びる楕円形の光り。それがテールランプの残像の如く伸びて、その様子が天狗の鼻にも見えたのです。オーナーは、鳴釜神社の天狗の鼻だ、と仰っていました。
僕達が花火の晩に梶浦山から目撃した妖怪鳴釜に似てますね。
ーー月渚
思い当たる節があります。
朝、梶浦山を仰ぎながら、空を眺めていると、翼が片方しかないジャンボジェット機が飛んでいったのを目撃しました。あれは何だったのでしょうか…。その時見たジャンボジェット機の鼻先が天狗の鼻を連想させてなりません。
怪談ーーーパラドックス、片翼の鳥(クラインの壺の天狗)
過去と未来の斑鳩一族が記憶を介してシンクロした時、映像が見える。
その映像に不備があった事がある。それが翼の無いジェット機だ。
誰々の顔を思い出して欲しい、と言うと顔だけ思い出す。胴体や手足は欠落した姿だろう。過去と未来のシンクロも、思い出したい記憶だけ思い出して欠落部分があったりするのではないか。
シンクロした記憶が曖昧でボヤけていたばかりに、未来から見た過去の映像の一部が欠けていた。ジャンボジェット機の翼を外すと、葉巻型の空飛ぶ円盤、或いは先端だけなら、天狗の鼻にも見えるだろう?
それが夕日を反射したテールランプの天狗の鼻の正体ではないかな?
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