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俺は今、暑苦しい騎士達に囲まれて椅子に座らされている。
威圧感半端ないし······
おまけにこの椅子はさっきまで遠目で見てもわかるほどに埃が被っていたのを、てきとうに手ではたかれただけのものだ。
つまり二重の意味で今すぐこの椅子周辺から離れたい。まじで。
むさい騎士その1が話しかけてくる。
「お前がカイだな?単刀直入に聞くが、何処で、誰に、ナイフの扱い方を学んだ?」
「独学っす。」
「あからさまな嘘をつくな!!」
うっっさ。
だいたいほんとのこと言っても嘘だって思うくせに。
誰が、小さい頃からあんたらが追ってる組織の人間に教え込まれてました、なんて言って信じるよ。
俺だったらまず信じないね!!
カイがフレンドリーなため皆忘れているが、そもそもカイの本来の性格は無表情でムカつく奴、だ。
隊長についていくために他の騎士にも比較的優しく接しているだけで、機嫌が悪くなれば一気に被っている仮面が剥がれる。
というかカイが引き剥がす。
「············!」
突如、カイの纏っていた緩い空気が無くなり、突き刺してくるような殺気に変わる。
自分よりも小柄でひ弱そうなのに、ムッとしながら髪を弄るカイにどういうわけか気圧され、騎士たちは一様に黙った。
明らかに見下したような視線で、口許を歪めてカイが言い放つ。
「気安く話しかけんなクズ。」
「なっ⁉」
まさに一触即発。
その時。
「·········カイ、相手の方が目上だぞ。敬語を使え。」
「了解しました!········先輩方、私は気軽に話しかけられると不機嫌になる人種ですので、どうか話しかけないで下さいませんか、おクズ様。」
「··············」
そういうことじゃねえ!!!と騎士数人と団長が思ったが、何とか辛うじてギリギリの理性をもって耐えた。
隊長の注意するところもカイの直すところもおかしいが、取り敢えずカイが隊長の話は聞くという事がわかったため今回は見逃そう、と団長は密かに思ったのだった。
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