隊長との日常

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隊長との日常

当たり前のように隊長の隣にいれる状況に嬉しくて発狂しそうだ。 隊長の無機物じみた横顔を眺め、ほうっとため息をついた。 いやかっっっこよ··········!! 本当に、隊長はカッコいいんだ。お世辞抜きで。 目をそらしたくなるくらい。そらさないけど。 実用的な筋肉がしっかり絞られてついている肉体。 感情の乱れが一切なさそうな静かな黒い瞳。 程よく焼けた明るい肌色とは反対に、表情は固く冷たい。が、整った顔立ち。 サラサラで清潔感溢れる、瞳と同じ真っ黒の髪。 それらが一つにまとまって隊長の全体の美しさのハーモニーを─── なお、これはカイが脳内で考えていたことだがほぼ口から漏れていて、それを聞いた通りすがりの騎士が『料理の解説みたい·····』と思っていたことを当人達は知らない。 そうしてカイが隊長から少しも視線を外さずに脳内で褒め称えているうちにいつの間にか隊長が何処かの部屋の扉をかけていた。 そしてその部屋の中には多くの騎士がいた。 恐らく隊長の部下なんだろう。俺も何人か見覚えのある奴がいる。 そしてそいつらの視線のほとんどが友好的なものじゃない。 まーそうですよね、って感じだけどな! 嫌味っぽかった奴が急にいなくなって急に戻ってきたんだから、当然ギョッっとするだろう。 おまけに騎士団を一時だけ抜けるなんて、本来はしちゃダメなことらしいしな。 そんな部屋の空気に気づいているのかいないのか、隊長は俺を紹介する。 「こいつはカイだ。切磋琢磨するように。」 ·············それだけですか⁉ そんなに情報の少ない相手とは誰も話してくれませんって! これは、自主的に自己紹介し直した方がいいな。 そう思ってたのに、用は済んだと言わんばかりに隊長が手を叩き、騎士達が解散してしまった。 ··············フレンドリーさの欠片もないな、この部隊。 俺はめんどくさそうな予感がしまくるメンバーを前に、小さくため息をついた。
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