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なんの目的がある?
泊めてもらったのは有難い。有難いが、同時に怖い。まさか、あの天狗と同じで私をーー
「食事を下げに来ました」
左にいる男の子の声で、はっと正気に戻される。
「あ、ごめんね、はい」
慌てて食器を持ってきて、男の子に渡すと、パッと消えた。
本当に一瞬。一瞬で、食器の全てが消えた。
「妖術ですのでご心配なく。割れてません」
いや、そういう問題じゃ…って、妖術って何?
「千夜様、主がお呼びですので着いてきてください」
主?確か、零も私を主という人の所へ連れていくのが使命だと言っていた。
「ほら、早く」
ぐいと服を引っ張られ、外に出る。ひとりでに電気が消えた。不思議だ。
ドアを閉めて、男の子達と廊下を歩き、エレベーターの元へ行く。
エレベーターのベルが鳴って、中に乗り込む。
11階のボタンを押して、上がる。
無言で乗っていると…気まずい。
「着きました。」
11階は私のいた客室よりもシンプルだ。
業務員用かな?廊下が続いていて、部屋はない。どこか大正チックな造り。
廊下を歩く。すると、大きなドアが。
コンコン。男の子がドアを叩く。
「入れ」
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