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中は本棚がぎっしり詰められていて、古い羊皮紙の匂いもするような部屋だった。
その部屋の中心のソファーに座っている長身で、少し長めの黒髪を一つに結い、紅色の着物を着た男性は、私達を一瞥した後、何か男性の前にある木の机で何か書き始めた。
「主様、お連れしました」
男の子がそう言うと、すぐパチンと男性は指を鳴らし、
「ご苦労」
と呟いた。ふわりと風が吹いた気がして、両隣にいた男の子は消えている。
ここは密閉した部屋の中なのだから風は吹かないはずだし男の子達も消えてるし、何がどうなっているのだ?
そして今、この威圧感漂う男性と2人きりである。怖い。
「君か」
急に声を掛けられて驚いたが、見た感じ攻撃的な意思は無いように感じる。…というかそう願いたい。
「何故自分がここに来たか分かっているか?」
「…はい?」
何故ここに私が来たか?この変な世界に?
知るわけないでしょう…!
「知りません、けど」
「そうか。では…」
「朝比奈彩歌は知っているか」
祖母…のこと?
え?どうして…祖母の、事を知って……?!
「お、おばあち…いや、祖母の事を、何故知って……っ!」
「ふむ。彩歌と同じ反応だな」
という事は。
祖母は、この人と会ったことが…あるの?
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