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夢話
昔、平安の頃だ。
ある屋敷に1人の姫がいた。
その姫は都で1番美しく、優しい姫だった。
だが姫には秘密があった。
それは…人ならざる者が見えること。
そして、それを祓えた。故意にやれる訳ではなく、無差別に近づいたら祓ってしまうのだ。
そのことを優しい姫は心苦しく思い、自身を恨んだ。
人々はきっとその姫を見てこう言うだろう。
『なんて愚かな姫なのだ。我らに害を与えるものなど居ない方が世も平和になると言うのに。姫は偽善しているに違いない』
まぁ…そう思うのも無理はない。
だって俺たちが暴れ回っていたのも事実だからな。
挙句の果て、姫は生贄として捧げられることになった。
おっと話が飛びすぎたな。
帝が俺や配下の退治に手こずっていた時、知らせを聞いたのだ。妖を祓う姫がいる、とな。
しかも近づくだけで祓えるのだと。
帝にとっては願ったり叶ったりだったのだろうな。という訳で、何も知らない俺達に生贄という名義で贈り、ノコノコと近づいてきたところで一気に厄介祓いをする。
生贄という名の囮。
優しすぎる姫は、それを承諾してしまった。
そうして、山のなかに1人置き去りにされた姫は、俺達と出会うなり
「私に近づいたらあなた達が消えてしまうわよ」
と敵に警告を発したのだった。
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