孤独

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「目を開けていいですよ」 零の声がした。 どうやら知らぬ間に眠ってしまっていたらしい。 ゆっくり瞼を開いていくと、まず目に飛び込んだのは―― 「鳥…居?」 黄昏の光を浴びて、朱に染まる鳥居だった…。 「ええ、そうです。もう降りてください」 その言葉に従って、零から降りる。一気に寒くなった。 「ついてきてください」 そう言い残して、鳥居の向こうに行こうとする。 「ま、待って!どこに行くの」 「ついてきてくれたら分かります」 だが、そうはいってもまずまず零を信用できるかさえ分からない。 人ならざる者はあまり信用しない方がいいと父も言っていた。 「その前にあなたは信用できるの」 むんずと零の尻尾を掴むと、びくりと肩を揺らし、涙目で私を見つめてきた。 「貴方を害するのだったらとっくの昔に害していています。それにわたしの役目は貴方を安全に主の下へ連れていく事ですのでとにかく尻尾を話してくださいお願いです」 どうやら尻尾が弱点らしい。なんだか可哀そうになってそっと尻尾を離してあげた。 けれど…まだ 「だからその主って誰なのよ…それに、何のために私を…」 「そんなことわたしは知りませんよ。わたしの役目は何回でも言いますが貴方を主に連れていくことです」 「………」 見た感じ嘘を言っている様子はあまり見当たらない。どうしよう。 迷いが私の全身を駆け巡る。 しかし、ふと私自身への疑問が頭に浮かぶ。 零の事信用できないのだったらなぜ今更ここまで来た…? その瞬間だった。
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