孤独

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綺麗な部屋。靴を脱いで、部屋に上がる。 白い壁で床は旅館らしく畳。 ちゃぶ台が置いてあり、その上に白百合が飾ってある。 外の景色が見えそうな窓がある豪華なお風呂に、綺麗なトイレ、端にはふかふかそうなお布団がひいてある。 12畳はあるだろう。 少し祖母の家の匂いがした。 祖母……朝比奈彩歌は優しくて、綺麗な人だった。 いつも私が遊びに行くと、不思議な歌を歌ってくれたり、金平糖等を「ちょっとだけよ」と言って笑いながらくれた。 そんな祖母が大好きだった。 祖母の家はごく普通の一軒家に住んで、祖父は数年前に他界したため寂しいと言って白猫のリリを飼っていた。 リリは、小学校の時虐められていた私の心を癒してくれた。(なぜいじめられたかと言うとまぁこの能力のせいなのだが。) 祖母は唯一私が人ならざるものを見えることを信じてくれた人だ。 「本当に……本当にいいんですか?こんな部屋」 今更不安になって、もう一度確認してみたが、「いいのです。では、ごゆっくり。」弐ちゃんは言った。ならば、ご好意に甘えるしか…… しかし弐ちゃんがでて行くと、猛烈な眠気に襲われた。 ちょうど布団も敷いてあったので、寝てしまおうか。 ふらふらと布団へ近づいて、ゆっくり布団に向かって倒れ込む。もうとっくに心は限界なのだ。 いい匂いがして、あっという間に私は夢の世界へ誘われて言った。
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