【 第6話: お兄ちゃんが帰って来ない 】

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【 第6話: お兄ちゃんが帰って来ない 】

 私は、お兄ちゃんの帰りを待つ間、晩ご飯の準備をした。  今日のメニューは、お兄ちゃんに精力をつけてもらうために、『うなぎの蒲焼』をする。  うなぎを自分で炭で焼いて、私の作ったニンニク入り特性タレで、お兄ちゃんにスタミナを付けてもらうんだ。 「ぶほっ、ぶほっ……。すごい煙……。うなぎ焼くのって意外に大変……」  時間がかかっちゃったけど、うなぎもいい具合に焼き上がり、これで準備万端。  時計を見る。もう夜の『8時』。  お兄ちゃんはまだ帰って来ない。  お兄ちゃんに、スマホで連絡してみる。 『今日、何時に帰れそう?』  1時間経っても連絡が来ない。既読にもならない。  もう一度、連絡してみる。  もう夜の12時を過ぎた……。  お兄ちゃんからの連絡はまだない。  心配になり電話をしてみる。 『おかけになった電話番号は、電源が入っていないか電波が届かないところにあるため……』  電話にも出ない……。 「何か事故にでもあったのかな……?」  そこへ、お兄ちゃんからのメッセージが届いた。 『ピロン!』 『今日、家に帰れなくなった。ごめん』 (えっ? 帰れないの? どうして……?) 『何か事故でもあったの?』 『いや、何もないんだけど、とにかく家に帰れなくなった』 『何で帰れなくなったの?』  それから、お兄ちゃんの連絡は途絶え、結局、お兄ちゃんは朝になっても帰って来なかった……。
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