【 第7話: 擦れ違い 】

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【 第7話: 擦れ違い 】

 私は、朝まで泣いていた……。  お兄ちゃんは、朝になっても帰って来ていない……。  私はメイド猫ちゃんコスプレのまま、いつの間にか眠ってしまった……。  ――そして、お昼を過ぎた頃、玄関のドアが突然開いた。 『ガチャッ、バタン!』 「ただいま」  私は、ハッと目が覚めた。 「お兄ちゃん……?」 「ああ、遅くなってごめん……」  何かお兄ちゃんの様子が変だ……。 「遅かったね……。何かあったの……?」 「何もないよ……」  やっぱり、何か変……。  いつものやさしいお兄ちゃんじゃないような気がする。 「あっ、お兄ちゃん、うなぎの蒲焼を作ったから、一緒に食べる?」 「あ、今はいい。食べたくないから」 「そ、そうなんだ……。食事してきたんだね……」  お兄ちゃんは、テーブルの上のうなぎを見てから、そのままお風呂場へ行き、シャワーを浴び始めた。  やっぱり、お兄ちゃんに何かあったんだと思う……。  シャワーを浴びた後、お兄ちゃんはシャツとパンツのまま、床でゴロンと横になった。  そのお兄ちゃんの姿を見て、また涙が出てくる。  何故か分からないけど、悲しい……。 (何があったの……? お兄ちゃん……)  お兄ちゃんの前で正座しながら、肩を揺らして、思わず声が漏れ出していた……。 「う、ううぅ……」
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