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『春の雪』後日談 ~テツと桂人の場合⑨
「ただいま、柊一」
「海里さん! お帰りなさい♬」
ははっ、その様子では無事に猫を見つけたようだな。
柊一が柔らかい笑顔で出迎えてくれたので、1日の疲れもさっと消え去った。
「あの、あの、あの……」
俺の後ろをパタパタとくっついてくる柊一自身が、子猫みたいで可愛いな。
「なんだい?」
「今日は、お部屋に入ったら驚かれるかも」
「ん? どうかしたのか」
「それがですね。本当に子猫がいたんです! この屋敷に……! 迷い猫かもしれないのですが、懐いているし……あの、あの」
柊一が一生懸命説明する様子が可愛いな。
「飼っていいよ。それで今どこいる?」
「ありがとうございます! 今は僕たちの……ベッドに」
「そうかそうか……」
ん? ベッドに? 俺と柊一の仲を邪魔されないといいが。
オスにしたのは正解だったのか、それとも……。
「さぁどうぞ」
柊一がワクワクした表情で、厳かに扉を開ける。扉の向こうはおとぎの世界のようだ。
あぁ可愛いね。
本気で信じてくれているのだね。
俺はいくらでも何度でも、君の魔法使いになるよ。
一生、おとぎの国で、和やかに過ごさせてあげたい。
「どこだ?」
「ベッドで眠っているんです。あ、今、起きたかも」
「どれ?」
ふたりで覗くと、ベッドに小さな白猫が丸まっていた。
流石、血統書付きだな。綺麗な毛並みに上品な顔立ちの猫で、俺も満足だ。
「名前はつけたの?」
「はい。なんだと思います?」
「うーん」
きっとフランソワとかホワイトとか……品の良い名前なのだろうな。
「テテくんです!」
テテ……? これはまた……随分素朴な名前をつけたのだな。
「柊一がつけたのか」
「いえ、テツさんにお願いしてつけてもらいました。この子猫くん、なぜかテツさんのことを母親だと思って彼の胸をペロペロするんですよ。だから……」
あああ、そういうことか。
最初に見たものを親だと思う習性は、猫にもあるのか。
「そ、そうか。この猫がテツの乳首を……うーむ」
想像すると、ぎょっとするな。
「あ、起きたみたいです。あぁん……くすぐったい」
柊一が白猫を抱き上げると、舌で柊一のほっぺをペロペロ舐めだした。
んんん? 待てよ。その猫の舌は先ほどまでテツの乳首を舐めていたのだろう。
なんだか少しよろしくないぞ。
俺はブチブチッとシャツのボタンを外して、胸を露わにした。
「え、海里さん……あの……何を?」
「いや、猫が乳を欲しがっているみたいだから、俺の胸を」
「えぇ! ぷっ! くすくす。海里さんが真面目なお顔で、そんなこと言うなんて……」
柊一が目の端に涙を浮かべながら笑っていた。確かにやり過ぎか。
「海里さんにもそんなお茶目な一面があるのですね。なんだか新鮮です。テテ、海里さんのお乳をもらう?」
「にゃあにゃあ」(いらにゃ-い)
「あれ? ああ……ん、僕のがいいの? こ、困ったな」
猫がもぞもぞと柊一のシャツに頭を突っ込むので、仰天した。
「しゅ、柊一! 猫はやっぱり猫用の食事を取るべきだ。ちょっと待ってろ。君の胸は駄目だぞ!」
「は、はい!」
俺は超特急でテツを呼んで、キャットフードや猫用のミルクをもらって戻った。
間に合うか。
「テテくん駄目だよ。ごめんね。あのね……僕のちくびは海里さんのモノなんだ」
「‼‼‼」
柊一とテテの会話が最高で、感動した!
冬郷家の当主の柊一は、俺にだけは特別に甘いようだ。
「柊一、今の言葉をしかと聞いたぞ」
「え! は、恥ずかしいです」
「おいで」
という理由で……その晩、俺は熱心に柊一の乳首を舐めてしゃぶって……愛撫しまくった。
「あぁ! も、もう駄目……イッてしまう」
「胸だけでイケそうだな。柊一……可愛いよ」
「あ……うっ、ううう……」
コリコリな乳首を指で優しく弾くと、柊一が震えながら自身を放った。
「可愛い……」
「ぼ、僕……こんなことまで」
白猫騒動から、大人の階段をまた一つ上った柊一だった。
あとがき(不要な方はスルーです)
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今日はコメディタッチで終わってしまいました。番外編なので、多方面から楽しんで書いています。いつもお付き合いありがとうございます♡
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