朝露のような希望 7

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朝露のような希望 7

 お願いだ、どうか中にいてくれ!  強い願いを込めて扉をガチャリと開くと、眩い朝日が降り注ぐ窓辺に桂人がいた。  見たこともない滑らかで光沢のあるローブ(ガウン)だけを纏っていた。  ほっそりとした肢体。躰のラインが如実に分かり、ドキリとした。更に驚いたのは、桂人の美貌がいつもよりずっと際立っていたことだ。  桂人と無事に再会できたことを、怒ったらいいのか喜んだらいいのか、頭の中がパニックを起こしていた。 「テ……テツさん……」  彼の唇が俺に助けを求めるように言葉を紡いだ時、理性が吹っ飛んでしまった。 「桂人! お前って奴は」  俺は本能的な行動に走った。桂人の唇をいきなり奪い、彼の背後にあったベッドへと押し倒していた。唇の皮膜から彼が生きている生命の温度を感じられ、安堵した。だがすぐに、もっと深く桂人が欲しくなった。  口腔内を舌で弄ってやると、桂人は小さく震えた。  生きていてくれた! それが嬉しくて目頭がじわっと熱くなる。15歳で庭師になってから、こんなにも人に対して熱い気持ちを抱いたことはなかった。  桂人の小さな頭を両手でしっかり固定して、口づけを重ね続けた。やがて我に返った桂人が小さな抵抗を始めたが、俺は全身で封じ込めてしまった。  「テ、テツさん!」 「桂人っ……心配した。探していたんだ! ずっとお前のことを」 「あっ……離せっ! 離せよ」 「駄目だ!」  もう絶対に離さない。離したくない!  お前は俺のモノ……その証が欲しい!  彼があまりに苦しそうに呻いたので、身を起こすと、桂人が寂し気に俺の首に手を回し……切願した。 「い……いやだ……離れるな」  桂人の着ていたローブは乱れ、白い胸の淡い色の小さな粒が露わになっていてた。象牙色の滑らかな素肌に欲情してしまった。このまま襲い掛かりたい衝動に駆られていると、桂人が更に切ない一言を発した。 「おれ……逝きたくないっ」  その言葉にハッとし、彼の抱えている事の重大さを悟った。 「ずっとテツさんの傍にいたい……こんなの変か……」  続く言葉に、彼からの愛と彼への愛を確信した。だから俺が調べたこと、知ったことを手短に話し、最後に迷うことなく告白してしまった。 「桂人、俺はお前が好きだ。気付いたら自然に愛していた」  桂人はもう……逃げない。  俺の告白を、全身で受け止めてくれた。  彼は身体の力をふっと抜いて、俺を受け入れると全身で示してくれ……薄いローブは彼の躰のラインに沿って静かに下に流れ落ちていった。  彼の裸体は湯船で見た時よりも、更に壮絶な色気を醸し出していた。  同時に桂の香りが部屋に充満する。  甘い香りだ。  俺を誘っているのか。  深い場所へと――  俺を呼んでいるのか。 「桂人……本当にいいのか」 「テツさんが、いい。あなたとなら……怖くない! 」    タカが外れた。 「もう俺を止められないぞ……本当にいいんだな」 「いい」  その言葉を最後に、俺は桂人の胸の尖りに唇を這わした。  全身を愛撫しまくって、生きている実感を感じさせてやりたい。  深く……深く挿入し、俺で貫いて、どこにも行かせない!  たとえ雄一郎さんが呼んでも、絶対に!  
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