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第三章~2~
ー龍月祭 “焔”ー
待ちわびた祭の初日なだけあって、里の皆がこぞって出店に群がっている。
それは竜やその主達も例外ではない。
彼等もまだ10代。
子供として振舞ってもよい年齢なのだ。
煉「おっ!あれ美味そう!」
碧「いーじゃねえか!行こうぜ!」
言うが早いか2人はあっと言う間に走り去っていった。(碧は飛んでいった)
刹「……相変わらずだ。」
蒼「まぁ、煉は緊張を隠してるみたいだけど丸分かり。」
響「目が泳いでましたね。クスクス。」
翠「初日を飾る紅さんは緊張し過ぎて壊れましたしねぇ」
そう言いながらチラリと隣を見る翠。
そこにいる紅は、先程からずっと笑いっぱなし。
紅は極度の緊張を感じると笑い上戸になるのだ。
紅「あっはははははは!」
翠「……はぁ(溜息)」
皆2匹の様子を苦笑しながら見ていた。
ーカーン...カーン...ー
と、そこに儀式の時間を告げる鐘の音。
紅「あっはは……は…………はぁ……」
蒼「お前なら出来るさ。行ってきな。」
翠「応援してますよぉ。」
黄金「ファイトですわ!」
黄「無理はするなよ。」
皆の激励を背に受けながらフラフラと舞台へと飛んでいく紅。煉はもう既に舞台袖にいた。
煉「修行したんだろ?ならそれを見せてやれ。」
紅「れ、煉……うん。やってくる!」
煉「その粋だ。それでこそ俺の相棒だ。行くぞ!」
紅「うん!!」
煉と紅が舞台に上がるといよいよ儀式の開幕。
まずは煉による火の演舞から。
太刀を使い、古から伝わる演舞。
観客達は舞に見惚れ、言葉を発する者はいなかった。
見事に舞い終え一礼をし、退場した煉と入れ替わるように紅が舞台へと上がった。
ー続くー
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