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第一章~1~
―10年後―
侍女①「姫様ッ!どこに行かれたのですか!」
侍女②「びめ゙ざま゙あ゛ぁぁぁぁぁッ!(号泣」
広い中庭を2人の侍女が長い時間さ迷っていた。
もちろん、この里ただ1人の姫を探して―
これが初めての事ではないのだが、侍女②は今日から入ったばかりの新人。仕事初めがこれなので酷くパニックになり大号泣しているのだ。
そんな彼女たちを少し離れた木の上からのんびり眺める者がいた。
?「…またか。」
彼女はこの城に仕え、そして10年前の封印の儀を目にしていた子供達の1人。
名を月影 刹那という。
容姿は中性的であるがゆえ、口調から男と間違われやすいが、れっきとした女だ。腰まである銀青色の髪を首もとで1つに纏めている。
姫を捜す侍女'sを見て苦笑しながら呟いた。
刹「姫も懲りないな。あとで響に叱られるのが分かりきっているのに。」
?「仕方ないさ。王も王妃もお忙しい方々だ。寂しいんだろ。」
刹那の声に応えたもう一つの声の主。
肩にひょこっと現れたそれは、生まれてからずっと刹那と共に生き、刹那に付き従う水色の竜、氷竜の蒼(ソウ)だった。
刹「まぁな。だが…」
「「…ここまでおてんばになるとは…」」
刹那と蒼が同時にため息をつきながら呟いた。
その間にも、侍女'sは行方のわからない姫を捜していた。
―続く―
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