6人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
第四章~1~
煉「…ここ、どこだ?」
月影 煉。ただ今絶賛迷子中。
里を出て数週間。そろそろ街に着くという時に、煉の悪癖である突っ走り癖を発揮。他の皆とはぐれ見事道に迷ったのだ。
紅「ゔぅ~…翠ちゃぁん…」
煉「だぁあああ!いちいち泣くんじゃねえ!」
紅「こうなったのは、元はと言えば1人で突っ走った煉のせいだかんね!」
そう。皆で周りの様子を伺いながら森の中を進む途中、煉が突然走り出したのである。
紅は慌ててそれに着いてきたのだ。
煉「う、うるせえ!姫っぽいやついたから仕方ねえだろ!」
紅「こんなとこに姫が1人でいるはずないじゃんかー!」
攫われた姫が森の中を1人でうろついていたらそれはそれで問題がある。
むしろそれだったらこの任務も簡単に完了出来ただろう。
煉「んなこたわかってんだようっせぇな…」
紅「だいたい煉はいっつもこうなん…」
煉「しっ…!」
愚痴から説教に変わろうとしていた紅の口を突然塞ぐ煉。
周りを警戒するかのように近くの茂みに静かに身を隠す。
紅「…むぐっ…なに?」
口を塞ぐ手をどかし小声で尋ねる紅に応え、数メートル先を指さす煉。
そこに見えたのは。
紅「ぎゃぁあああっ!竜が出たぁあああッッ!!」
煉「てめえも竜だろうが!声がでけぇ!バレる!!」
叫ぶ紅をどつき竜の様子を伺うと時すでに遅し。
さっきまでゆったりと歩いていた竜が立ち止まり、こちらを向いている。
煉「…げっ」
こちらを向いているという事はつまり、ばっちり目が合っているのだ。
2人「ばれてるぅううううう!!?」
竜「ぐぎゃぁおおおおっっ」
煉「に、逃げろぉぉぉおおお!!」
逃げる者を追うのは野生の性(サガ)。
果たして…ー
ー続くー
最初のコメントを投稿しよう!