第四章~6~

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第四章~6~

一方その頃、とある城内の一室。 暗い室内を照らすのは幾本かの蝋燭の灯りだけ。そのような部屋で行われるのは当然人目をはばかる物事と相場が決まっているもの。 静かに横たわる1人の幼女の周りを取り囲み、ひそひそと密談をする4人の男女。傍から見れば甚だ不気味な空間である。 ?「へェ?こんなちんちくりんが〝あの御方〟とは。」 ?「…口を慎め桜雅(オウガ)。不敬だぞ。」 桜「あ゙ぁ?」 ?「そうよぉ?〝あの御方〟はいつでもアタシ達の事を見て下さってるんだからぁ。桜雅と紫蘭(シラン)も落ち着きなさいなぁ」 2人「「…ふん」」 揉める男達に宥める声をかけたのは、いつぞやの來都と姫を遠目に見ていた黒髪女。 そう。今ここに横たわっている幼女とは、先だって月の里から誘拐された紗久夜姫の事なのである。 黒髪女「どのようなお姿になっても、アタシの忠誠は変わらないわぁ♡」 紫「…お前も少しはその変な口調をやめろ、槐(カイ)」 槐「その名前で呼ばないで頂戴!槐と書いてエンジュよ!」 槐が、己の口調を咎める紫蘭にそう返した瞬間。窓のないはずの部屋の中を一陣の風が吹き、傍の蝋燭が倒れ辺りを暗闇へと落とした。
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