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第五章~2~
次の日。
煉だけでは同じ結果を招くだけだという全員一致の認識により、煉が話を聞いた子供にもう一度会いに行くことにした月の一行。子供が見たのであれば、その近くに大人がいてもおかしくはない。誰かしらちらりとでも見ていたのなら万々歳。
煉「ついたぜ。この家だ。」
全員「……っ!?!?」
煉が指をさしたとある家を見て息を飲む。その家は、とても人が快適に過ごせるとは言えなさそうな簡素な茅葺きの家だったから。己の里ではありえないほどの簡素さ。平民であってもここまでの脆さの家は見当たらない。その周りの家はまだ普通に見られる家だと言うのに何故この家だけこうなのだろうか。
刹「……とりあえず話を聞かない事には何も出来ない」
響「はい。まぁあまり期待はできませんが」
気を引き締める者、苦笑している者。それぞれ違う表情で、先に入った煉に続き家の中へ入っていく。
華「…あ、わ、私、こちらでお待ちしておりますわ…」
真「ほら、そんな事言ってないで行くよー華凛!」
華「きゃっ!?お、押さないでくださいましっ」
家の見た目から尻込みし、入る事を躊躇する華凛の背中をぐいぐい押しながら、真凜が勢いよく中へと入る。既に中に入っていた響達により、ある程度の聞き取りは済んでいた。やはり子供の近くには親がおり、その親もちらりとではあるが怪しい集団を見ていたというのだ。ここに来て有力な情報を得た一行。小さく安堵の息をついたのであった。
ー続くー
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