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第五章~4~
桜「…危ねぇ。バレたかと思ったぜ」
梅「桜雅がぎゃーぎゃー騒ぐからだろ」
桜「ぎゃーぎゃーなんて言ってねえよ。つかこの距離で気付く方がやばくね?」
月の一行がいる部屋からほんの数百メートルほど離れた空き家。そこに潜み、今日1日の一同の様子を見ていたのは偵察にきた桜雅と梅香。
桜雅はとある作戦のための下見と、そのついでに月の一行がどんな奴なのか興味があり、本来は別行動だったはずの梅香を強制的に案内役として連れて来ていた。
桜「んで?お前が見た來都ってのは?」
梅「あぁ、あそこにいるデカい男だ。周りのガキと比べてアイツは気迫が違う。常に気配を探ってるよ」
丁度窓から見える位置に現れた1人を指さしながら問いに応える。何度となく任務として様子を探る為に尾けたことはあったが、その都度姿までは見られてはいないが、気配を勘づかれるか撒かれるかのどちらかだったのである。
梅「…ほんと嫌な奴だよ」
窓の方を見ながらそう苦々しげに吐き捨てる梅香。普段はあまり見ることの出来ない梅香の表情を見て、思わず爆笑しそうになる桜雅。だがここで笑うと確実に終わると分かっているため、咳払いで誤魔化した。
桜「ん゙んっ…ま、いいじゃねえか。いつか戦う時が来るんだ。その時まで楽しみは取っとこうぜ」
梅「…そうだね」
そう呟くと、2人は拠点へと戻って行った。
今見た様子を報告し、今後の対策を練る為に。
ー続くー
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