第六章~1~

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第六章~1~

?「……」 夜が明けゆく空を眺めながら、険しい表情を浮かべ静かに窓際に佇む男が1人。 彼の名は楓黎(カグロ)。銀髪の片側サイド長めのショートヘアを緩く整え、切れ長の鋭い双眸は漆黒の瞳を内包する。普段は表情が読めないポーカーフェイスだが、周りに誰もいない今は眉間に皺を寄せ、艶黒子のあるその口許は固く引き結ばれている。 楓「…このままだと時間の問題か…何か手を打っておかないと」 そう小さく独りごちた時に微かに響いたコンコンッと響くノックの音。表情をいつものポーカーフェイスに戻し、相手の待つ扉を開けると用件を問いかけた。 楓「このような夜更けにどうしました?」 梅「失礼します、楓黎様。少々お聞きしたい事がございます。」 楓「ふむ…どうぞ」 そのまま梅香を室内へと誘い、近くの椅子に腰掛けさせる。それに大人しく従う梅香の表情は暗く沈んでいるようにも、なにか深く考え込んでいるようにも見て取れた。 そんな梅香の様子を見て小さな胸騒ぎを覚えた楓黎が口を開きかけたが、相手によって紡がれた言の葉にほんの一瞬ではあるが小さく目を見開いた。 梅香「楓黎様。年の離れたご兄弟等はおりませんか」
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