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第一章~4~
みんなそれぞれの時を過ごしている頃―
里より少し離れた遥か上空。
?「…そろそろ帰るぞ…」
?「やぁだ~、まだ帰らない~!」
大きな竜の背に乗った男の促す声と駄々をこねる女の子の声が聞こえてくる。
月影 紗久夜(サクヤ)。
御年10歳。
外見は可憐な少女だが、それに似合わず好奇心旺盛でやんちゃな問題児。
言わずもがな、額に封印されし印を持つ月の里唯一の姫だ。
姫に付き従うは、月影 來都(ライト)。
年齢は20歳。筋肉が程良くついた、スラッとした体型に黒茶色の短髪。
勿論彼も10年前の目撃者であり、子供達のリーダーである。
紗「もっとおさんぽするのぉ~!」
來「…皆…心配する」
紗「やぁだ~!」
紗久夜姫が大きく首を振りながら叫んだ瞬間。
ぐらりと姫の小さな身体が傾き、竜の背から滑り落ちた。
來都が手を伸ばすが1歩及ばず届かない。
紗「きゃぁぁぁぁッッ!?」
來「―ッッ!黄(オウ)!!」
黄「御意」
黄と呼ばれた竜。
來都に付き従う地竜である。黄も個性的な竜達を纏めるリーダーとして日々務めている。
黄は落ちていく姫目掛けて急降下し、姫の真下へ入った。すると來都は立ち上がり、姫を無事受け止めた。
紗「…うあぁぁぁッッ!」
パニックになった姫を宥めながら、來都は無言で城へと向かうのだった。
―続く
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