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「え??ここは???」
部屋...この場所の部屋って...
「学園の寮...よね?」
床には割れた大きめのフラスコと...ミニチュアの家具達とお花のブローチ!
「これって!」
そうよ!昔ジュリオお兄様に渡したブローチ!
拾い上げてまじまじと見つめる...間違いないわ!
そんな確認をしている中ドォン!と外から大きな音が響くわ!
「もしかしたら、例の佳境が始まったのかもですね!」
そう言ってララは窓から外を見る。
「佳境って例の淫魔がなんとか言ってた件???」
わたくしも外を見ると学園の中庭のど真ん中に禍々しい化け物がいるわ!
黒ヤギと人間の女が合体した様な気味の悪い姿に背中には真っ黒な蝙蝠の翼を生やした化け物だわ!
それを魔術で対応しているグレージュのジャケットの学園の制服を着て戦っている青年...あれって生徒会長で宰相の息子のジュリアーノ様!
青い髪に眼鏡をかけた背の高い方で、結構美形なのだけど冷たいイメージがあってか近寄り難いって女子の間で話題になってた方。
入学式で演壇で初めて見たけど...でもなんで宰相の息子なのに、今まで一度も会ったことが無かったのかしら?
ジュリアーノ様は高位魔術の術式を組んでは攻撃を懸命に仕掛けているけどなかなかトドメをさせないっぽいわ!
「おー旦那様頑張ってるけど、複雑な術式組めないからこのままじゃあきっとだめですね...仕方ない...、アレクサンドラ様はここでじっとしてて下さいね!」
メイドのララは窓をよじ登りヒョイっと外へ!
「ええっ?」
ララはあの化け物の元まで走りこむ。
「おりゃああああああ!こんの偽物がぁぁぁっ!!」
メイドのララはそう叫んで化け物にスライディングを食らわせたわ!
そしてそのまま倒れかかった化け物の背中から抱きかかえ後ろへそり投げるとそのまま両足を掴んでぐるぐると水平に振り回して勢いをつけて上空へ投げ飛ばす!
「旦那様!トドメです!!!」
「分かった!」
そう言ってジュリアーノ様は大規模な術式を組み展開するわ...あれは!
『稲妻よ!かの者へ降り注げっ!』
ジュリアーノ様が片手を上空へ向けて、光る円陣が現れて組んだ術式を展開し始めると上空が暗くなりゴロゴロと音と共に雷雲が現れる、あれは気象系の最大召喚術だわ、流石生徒会長!
『サンダーボルトッ!』
ドォン!とジュリアーノ様は手を振り下ろすとその化け物に稲妻を浴びせるわ!
『ギャアアアアア』
その化け物は叫び声をあげてドサっとそのまま地面に倒れ込む。
その化け物は稲妻で焦げ焦げで倒れているわ...
それにしてもジュリアーノ様も凄いけど...あんな化け物に体術だけで投げ飛ばすメイドのララって何者なの...
そしてジュリアーノ様こそジュリオお兄様なのかしら???
「アレクサンドラさま~倒しました!」
メイドのララはこちらに向かってぶんぶん手を振るわ!
そしてジュリアーノ様もこちらに顔を向ける...青い髪で...まじまじと見ると眼鏡の奥の瞳は金色...まさか...
「ジュリオお兄様...なの???」
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