悪役令嬢攫われる!

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庭園の花を見てまた昔の事を思い出すわ... ジュリオお兄様が退院する日になった時、わたくし不貞腐れて部屋で閉じこもっていたのよね... きっとお別れが寂しくて辛かったせいだと思うけど... 「サンドラ?サンドラ?」 ベッドの上に布団に包まって身を隠すもそこに居るのがわかっててベッドに腰をかけて布団の上から撫でてくれるのがわかる。 「僕は先にここから出てしまうけど、サンドラが本当に大変な時は絶対に駆けつけてあげるから...だから顔を見せて」 「ほんとう?」 と布団から顔を出すとジュリオお兄様は笑顔で覗き込んでくれるけど、何だか寂しそう。 「...これあげる!」 わたくしの宝物をジュリオお兄様に渡したの...様々な色のお花が輪になっているかわいいブローチ...男の子に渡すプレゼントには相応しく無いかもだけど、でもお兄様にあげたかったのよね。 「こんな素敵なもの...良いのかい」 「そのかわり忘れないで」 そう言ってぎゅっとお兄様に抱きついたのよね。 「分かった...ありがとうねサンドラ」 おでこにキスしてくれて、それで最後にバイバイって挨拶して...それ以降再会する事は無かったのよね... 今思えばきっとジュリオお兄様は平民だったのかもしれないわよね... ジュリオお兄様は今どうしてらっしゃるのかしら...
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