入隊試験

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 その発言者にその場の全員が驚いた。 「どうした総司?近藤先生の意見に反対するなんて珍しいじゃないか。」  思わず、と言った調子で井上が声をあげる。 「だってあの人、女性だったじゃないですか。」    さらに全員が目をひん剥いた。 「みなさん気づかなかったんですか?」 「それもそうだけど総司って女の人あんなに嫌いなのによくわかったね。」 「いや、女嫌いだからこそわかるというのもある。俺たちには感じられない女の雰囲気に嫌悪感があるのやもしれないから。」 「平助も一くんもひどいよ。別に感覚でそう思ったわけじゃないし。」 「じゃあ何で気づいたんだよ。お前以外はわかってないぞ。というか普通に男かもしれねえだろ。」  少し冷静さを取り戻した土方が自分が気づかなかったのが悔しいのかなぜか睨みつけながら言う。 「右手です。」 「そういえばさっき私の手を見ていたな。何かあるのか?自分のでも良かっただろうに。」 「いえ。あの人手が白くて綺麗だったし竹刀だこも全然ないから、剣術ができないことに驚きはないんですけど、右手の人差し指が僕と違うなって思って。多分包丁を握るとあんな風になるんじゃないかな。源さんにもそういうのがあったから。」  確かに男の割に料理ができるということで平隊士と一緒に空いている日は料理を井上が作っている。 「まあ実家が旅館や料理屋だとか言われたらそれまでですけど、女性といわれればあの非力さにも説明がつくし、ほぼ間違いないと思いますよ。」
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