入隊試験

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 新撰組では二ヶ月前に筆頭局長である芹沢鴨とその仲間が殺され、幹部のほとんどが江戸で試衛館と言う道場の道場主であった近藤勇の元でまとめられていた。  芹沢亡き後、隊の増強と芹沢を知らない隊士を増やすことによって隊内から芹沢の雰囲気を拭い去ると言う二つの目的から、大規模な隊士募集が行われている。  二つ目の目的は副長の土方と山南の二人だけの認識であり、近藤はそのような思惑を露ほども知らないし、正確にそれを感じ取っているのはおそらく、隊内でも恐ろしく勘が働く沖田と斎藤だけであろう。  今回初が参加する入隊試験は芹沢が死んでからは二回目であり、一回目には山崎丞や武田観柳斎と言った面々が入っており、近藤はその結果に満足していたため、二回目にも大きな期待が寄せられていた。  今回の試験では、剣術のちょっとした手合わせをし、その実力がある者、またはなくても気組が認められた者が入隊できる。もちろん判断基準は受験者には伝えられていないし、明確にそんなものはない。  手合わせをするのは藤堂平助、そしてそれを見守っているのが、局長の近藤、副長の土方歳三、山南敬助、それに副長助勤の沖田総司、斎藤一、井上源三郎である。  その他、永倉新八、原田左之助、谷三十郎などの幹部が巡察などにより不在であるが、今回は前回に比べて同席している幹部が多い。  そのようなこと初を含め受験者には特になんの関係もないが、皆それなりに緊張しているようで、幹部たちはそれを微笑ましそうに眺めていた。    
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