ボクの愛しい冷たいキミ

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 パーシィの母が、息子が家にいないことに気が付いたのは日が登ろうというときだ。  彼女は昨晩の自分の言動を悔いていた。  自分はパーシィの母なのだからしっかりせねば。あの子がそっけないというのならば、その分自分の方が愛情で満たしてやればいい。行動におかしなところがあるのならば、こっそり後でもつけて確認してから嘆けばいいのである。案外、「なあんだ」で済んでしまうことなのかもしれない。現実とは、そういうものだ。  だから心機一転、笑顔で元気よく子供部屋の扉を開き、そこでベッドにパーシィの姿がないことに気が付いた。慌てて家中を探し、見つからず夫に声をかけて外へ出ようとしたとき…玄関に人影が立っていることに気がついた。  だが、すぐにそれが自分たちの息子だとは気づけなかった。  なにせ息子の前半身は真っ赤に濡れそぼり、とても凄惨な有様だったからだ。まるで映画のスプラッタホラー。生臭い、深い海の臭いがした。  なのに、息子はまるで万感の想いが叶ったかのように、晴れやかに笑っている。  「母さん」  一歩、母に近づく。今まで自分から人に近づくことのなかったパーシィが、いっそ自ら他人を受け入れるように両腕を広げた。  「母さん、ボクはちゃんと人間だったよ」  あの、冷たい彼女が証明してくれたこと。
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