最後の温もり

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 家に帰って手洗いとうがいを済ませてからリビングに入ると、ぐったりした両親が目に入ってきた。無理もない、早朝からバタバタしてお疲れの様子だ。  両親の話によると、お爺ちゃんは両親が病院に着いた時にはもう息を引き取っていて、一時間後には葬儀屋に運び込まれたらしい。葬儀屋で諸々の手続きをして両親もさっき帰宅したばかりだと言う。  テーブルの上に食べ終わったコンビニ弁当が置かれたままになっている。しょうがないから私がそれを片付ける。 「礼服の準備をしておいてね。あと千草が帰ってきたら二人で葬儀屋に行っておいて。車の鍵は下駄箱の上に置いてあるから。それじゃちょっと寝させて」 お母さんはまた言いたいことだけ言ってお父さんと二人で寝室に帰っていった。
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