ショーウィンドウに飾られたドレス

1/2
前へ
/64ページ
次へ

ショーウィンドウに飾られたドレス

この世界には魔法が存在する。 ホーライ大陸を形成する4つの国は、15年前に始まった世界最大の戦争が幕を閉じてから和平を結び、争いのない平穏な日々を過ごしていた。 そして各国にはそれぞれ象徴となる最高機関と、魔法使い育成のための学校が存在していた。 ホーライ大陸全域の地の魔力を司る王国・タンザゴルビ。 タンザゴルビの最高機関と同時に大陸最大級の山でもあるシトミン・ガラ山脈には豊富な資源と魔法石が発掘でき、それらをもとにした生成された魔法具は世界中で魔法使いの生活を支えている。 そしてガランナット魔法学校は魔法スポーツ界にて活躍する多くの選手を輩出していた。 海の魔力を司るハニエル王国。 ホーライ大陸で最も美しい国で、水と花の都とも言われている。 そんな麗しい国にふさわしい紳士淑女の育成をしているのはオエナンサ魔法学校。 生徒のほとんどが名家の子女である学校では、国を跨いでの入学を希望する貴族も多い。 空の魔力を司るアストイア国は、争いを好まず、穏やかな国である。 そんな国の思想の影響を大きく受け、設立されたカストリア魔法学校では出生を問わず受け入れるため世界で最も生徒数を有する。 他校よりも学べるものが多く、生徒は自分の学びたい学問を自由に選択することができる。 戦争では唯一敵国であった旭陽(シィーヤン)国は、風の魔力を司る。 国民は忠誠心が強く、国民の誰もが頂点に君臨する天照(アマテラス)と国に対して畏敬の念を抱いている。 敗戦国となった今、他国との友好的に関わろうとするが、独特な容姿と文化、なにより戦前の思想が国民に根付いているためか完全に打ち解けるには時間がかかっている。 そのせいか鬼騎(グイチー)魔法学校では他校にはない魔法教育が行われ、今でも生徒を兵士として育成する場となっている。 今から15年前に始まった戦争は旭陽国対世界という無謀とも言える戦争だった。 誰もがすぐに決着がつくと思われていたが、予想にも反して終焉まで2年もの歳月を有することとなる。 だがそれだけ旭陽国は多大な犠牲を払ったということと同義だった。 終戦後、国々はお互い手を取り合い、同盟を組み、ホーライ大陸の平和の証としてフォルフォセティ大聖堂を創設する。 フォルフォセティ大聖堂はホーライ大陸の中心にあり、海に浮かんでいる。 どの国からも見える位置にあるその荘厳な建物は、世界の象徴となっていた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加