調書に書けない身内のはなし

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「……彼、先輩の知り合いじゃないっすか?」 「え~違うんじゃないの? 単なるパトの追っかけでしょ。 警官に憧れとかさ抱くじゃん、あの年頃とか特に」 「彼そういうタイプには見えないですけど。 寧ろ逆なような気がします」 『法嗚にーさん!!』 「先輩の下の名前……良く似てますね」 「そら似だろ」 「そうは無い名前ですよ?」 「おっかしいな………… 何処かで手帳見せたのかな」 「先輩、ガキと関わるの面倒だから 絶対ヤダって口癖じゃないですか。 そんな先輩が手帳をわざわざ見せるとは思えないですね」 うっせえな、コイツ。 その無駄な観察眼、もっと仕事に向けろよ。 『オーイ!法嗚兄さんてば! 待ってよ!』 「どーみたって知り合いッスよね?彼。 先輩の名前連呼してますし」 『かっちゃ~~んてば!!』 「へぇ、かっちゃん……か。 可愛いっすねぇ」 「お前が呼ぶな、虫唾が走る」 「え~違うんでしょ? だったら良いじゃないですか。 ねぇ?か・っ・ち・ゃ~~ん」 「ッ!?耳元で喋んなっ!!」 と、同時にフ~~~と息を吹きかけられて、 ゾワゾワと寒気に似た感覚が耳と首筋に纏わりつく。 「大人気ないですよ?“かっちゃん” 止まって差し上げたらどうですかっ!」 「ぎゃっっ!!!」 横から出してきた足で思いっきりブレーキを 俺の足ごと強く踏み込みやがった。
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