調書に書けない身内のはなし

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さて早く出勤したは良いが、 どうにもこうにも落ち着かない。 あ~~えらいもん見ちまった。 思い出したくもないのに何度も何度も今朝の一件が 頭で勝手にエンドレス再生されている。 肝心なところは脳内拒否反応による自主規制が施され 明確化されないところが唯一の救いか。 多副 爲等。 穏やかで優しく義兄に似て素直で品行方正、 いわゆる優等生タイプ。 我が甥っ子ながら良く出来きた子だと感心する。 恐らくは義兄の血液が主成分で あとは若干姉の血が混入してるくらいだろう。 一方、いとこ甥の埜永実 侑夜。 年の離れた従兄の息子で顔は美人の母親似。 一人息子でもこっちは我儘で 目一杯自由に育てられてたやんちゃ小僧。 小さい頃は散々振り回された記憶しかない。 おじさん達もかなり手を焼いてたっけな。 そんなガキがまさか自慢の息子になるなんて 親戚一同誰も予想だにしてなかった。 なんといっても今をときめくアイドル様だからな。 最初スカウト受けた時はあんなに嫌がってたくせに ちょっと不良ぽいところが良いとか受けてが 単なる我儘だと正体を知っている俺には 到底理解の及ばない人気ぶりだ。 昔っから爲等、爲等って後を ベッタリついて回っていた印象が強い。 かなり仲が良かったからなぁ。 アレは……新しい遊びかそれとも何か練習とかだろうか? 別の何かに置き換えようとしても それが物凄い近い身内で互いの性格を知ってるが故に 打ち消すのは困難を極める。
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