調書に書けない身内のはなし

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「なぁ……お前、男とチューしたことある?」 「は?」 「男とチューだよ」 出勤後、程なくして目に入った後輩に さりげなく話題を振ってみた。 「いや、ソレさりげなくありませんて。 割と唐突でかなり強引な質問ですよ」 まるで俺の心の中を読んだかのような返しに 若干イラッとする。 「いいから!」 「先輩、溜まってるんスか?」 「違う」 「先輩は、あるんですか?」 「ハァ?ふざけんな!ねーよ、男とかありえない!!」 それどころか女ともまだなのにとか 口が裂けても言えねぇよ。 「ふーん、したいのかと」 「ケッ!冗談だろ!」 野郎、ハイハイ、ちょっと用足してきますとかいって 部屋出ていきやがった。 って、答えぇぇぇ!! 「はぁ、甥っ子さんと従弟がねぇ」 「いとこ甥だよ」 「似たようなもんじゃないですか、 も~どうでもいいとこ細かいですね」 「お前が全部テキトーなの」 「ま、良いじゃないですか。 親戚のおじさんが どうこう首を突っこむ話じゃありませんよ」 「突っこみたかねーんだよ!誰が好き好んで……。 だがな、うち親戚の付き合い結構濃厚なんだ、 二人目の前にしてどんな顔すりゃ良いんだよ」
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