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「……おじさん」
「侑~~どうしたぁ?
具合でも悪いのか?
歯ギリギリ言わせちゃって」
「おじさん、そのくらいで……」
「あははは。
何ならいま、俺が爲等に電話で
直で聞いてやろうか?
俺ってば優っしいぃぃ」
「かっちゃんおじさん」
「ヒヤァァ!!!」
いきなり後輩に
耳元でふ~~~~~っと息を吹きかけられて
その悪寒で軽く数センチ飛び上がった。
「何しやがんだ、お前っ!」
「おじさんってば、なんて大人気ない。
もう良いでしょ?その辺で」
「日々のストレス解消の邪魔すんじゃねぇよ。
しかも、かっちゃんおじさんとかキメラ呼びすんな!」
後輩はヤレヤレと言わんばかりに
両手を広げながら、
「ちゃんと聞こえてんじゃないですか。
無視しないで下さいよ。
そもそも警官が青少年捕まえて憂さ晴らしとか」
日頃俺の愚痴や文句を散々無視しやがるくせに
どの口が言ってんの??
「お前には関係ねーよ」
「いや、あるでしょ。
……周り見て下さい。
恐らく彼が“埜永実 侑夜”だと
気付き始めたみたいで
女子高生が動画撮ってLIVE中継してますよ」
急に小さな声と早口で言った台詞に
周りに目を向けると、
数十人の女の子達が俺達の方にスマホを向け
侑サマが警官に因縁つけられてるとか
絶賛生放送してやがる。
“どうやら侑様が一方的に職質されてる模様”
「ちょっとぉ!!侑サマに何言ってんのよ!
クソ警官!!●●●すっかんなーテメー!!」
“自分の人相の悪さを僻んでの犯行か?許すまじ”
「侑様、可哀想っ!!」
いつの間に……
「違う、俺はただ―――」
そう言おうにも、怒号と悲鳴で
全部かき消されてしまう。
「かっちゃん先輩、無駄だと思います。
天下のアイドル相手に分が悪すぎますよ。
ここは引きましょう」
チッ、仕方がねぇ。
…………それと、かっちゃんって呼ぶな。
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