調書に書けない身内のはなし

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「え?」 「史珂ちゃんでしょ、ソレ」 爲等は真っ赤になって小さく頷く。 「……上手くいってんの?」 俺の問に爲等は苦笑いして、 彼女モテるからと言った。 つまりそっちも相変わらず、ってね。 爲等の二歳上の史珂は幼稚園に入る前からの幼馴染で、 美人だけど我儘なところがあって、昔から 真面目で素直な爲等を便利君よろしく付き合わせている。 小悪魔的といえば可愛く聞こえるが、 自分に好意がある男を都合に合わせて 振り回すような女をそんな風には呼びたくない。 爲等は純粋すぎる。 「そうか……」 お前は彼女と思っているようだけど 果たして向こうはどうかな。 前に少し爲等にそれとなく注意を促したけど 爲等は笑って流していた。 恋は盲目。 他人がいくら言ったとこで 本人からハッキリ言われなきゃ 納得しねぇわな。 俺的には甥っ子の辛い恋なんかみたくねぇんだよ、爲等。
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