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「お前さ、侑夜になんか脅されてる?」
「え……」
爲等はビクリと体を震わせた。
おっと……メチャクチャ反応したな、今。
調書にアタリって書きそうになるじゃん。
「マジで脅されてんのか?」
「ち、違います」
お前ホント嘘下手。
「ネタは何?」
「だから違いますって。
脅されてるとかそういうんじゃなくて」
ハッキリしないとこも昔っから。
「じゃ何?何で今朝、アイツとキスしてた?」
「えっ!」
爲等が俺をびっくりした目で見返して
自分が失態を犯したことに気が付いた。
ヤッベ……
まぁ、もういっか。
一旦言っちまったモンは
引っ込まないし、それより真相が知りたい。
「……見たんですか?」
「ああ。家の前で朝早くから
ゴチャゴチャ聞こえて偶然外見たら
お前らが……さ」
「そ……そうですか」
おーおー顔真っ赤。
純情だねぇ。
だから史珂に利用されんだよ、バカだなぁ。
「ん、で?」
俺が答えを催促すると
下を向いたまま、
「付き合えって言われたんです」
「何処に?」
「え?ああ、えっと、そういう意味では無くて。
その……好きだから恋人になれって」
は?
侑夜が???
マジか!
「いやいや、男同士でソレはないよな?」
「僕もそう思って、第一いま史珂ちゃんと付き合ってるし
って言ったら、そう思ってんのはお前だけだとか……
それで言い合いになってイキナリ」
「そ、そうか。
酷いな、侑夜のヤツ!」
なんだろう、全部は否定しきれねぇ自分がいる所為で
ほぼ棒読みになってしまった。
まぁ……侑夜の目が正しいな。
なるほどよく見てる。
しかし、あの侑夜がねぇ。
甥っ子の心配しながらも
無意識にこのネタどっかの週刊誌に売ったら
何か月分のパチンコ代になるのかと計算を始めている
自分が若干だが怖い。
いいや、違うね。
もう少し公務員の給料を上げてくれれば
俺がこんな事を考えずに済んだんだ。
そうだ!全部国が悪いんだ!
そうだろ?全国の公務員諸君!?
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