調書に書けない身内のはなし

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「ねぇねぇ、かっちゃん。 昨日なにかありました?」 出勤早々クソめんどくせぇ後輩が 挨拶すらしもしないで 息をするかのような自然体で 身内でもごく一部でしか呼ばれない 名前で呼んでいるんだが?? で!俺、先輩な!!!? 「オイ……側壕、テメ」 「細かいこと気にしないで 答えて下さいよ」 3つしか変わらない筈なのに 何でこうも話が通じないのか。 「あ?何かって?」 「何かは何かですよ」 ……何言ってんだ?コイツ。 「昨夜……? ああ~~そうそう。 嫉妬に狂った我儘アイドル(知り合いのガキ) に警官……いいや、違うね。 大人の男としてのありようを 懇々とだな……」 「うっわ……ウザ」 「なんだと、よく知りもしねーで」 「分かりますよ。 どうせ一方的に説教したんでしょう? 相手の気持ちも話も聞かず一方的に」 「2回も言うな。 聞いたわ!ちゃんと」 「聞いたんじゃなくって単に”聞こえてた”の範疇ですよね」 「ッ……てか、お前だって、 俺の話いっつも聞いてないじゃん!」 「どうでも良い話は聞き流して良いんですよ」 お前の基準っっ! 俺がどっか辺境の地にお前を 飛ばしてくれるよう匿名の嘆願書投書しても良いんだぞ! 心の中で思いつく限りの罵詈雑言を これでもかと並べたてるのに忙しい俺に、 「……ま、取り敢えず先輩の事で 揉めてるわけじゃないんですよね?じゃ良いです」 「……………………は?」 意味……わからん。 ホント……何言ってんだ? コイツ。
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