調書に書けない身内のはなし

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朝っぱらから何処のどいつ等だ? 俺様の安眠妨害しやがって。 二階のカーテン開けて見れば何とうちの敷地内で男が二人、 しかも制服を着ているとこみると……はぁぁ?ガキか!! 「こぉら……」 騒音と住居侵入罪で文句の一つでも怒鳴ってやろうかとの 決意をいとも簡単に砕かれたのは―― それまでまくしたていた方の男がいきなりもう一方の男を 塀に押し付けて――した、ように見えたからだ。 しかも、改めて見ればガキ共に激しく見覚えがある。 一人はかつてうちの家族構成の一員だった姉夫婦の一人息子、 甥っ子の多副 爲等(※読めなくて大丈夫)、高三。 そしてもう一人は、 はとこの埜永実 侑夜(※読めなくて以下略) 高一。 「…………」 いや、まさかまさか。 ハハハ。 寝ぼけていたとはいえ、 とんでもない幻を見たものだ。 カーテンをそっと閉めて現実を遮断した。 見なかった。 うん、多分ソレが最良の答え。 思考終了、仕事に行かないと 折角早く起きたのが無駄になっちまう。 「お、珍しいなお前がこんなに早いなんて。 季節外れの雪なんかやめてくれよ?」 「やですね~部長。 何かそれじゃ俺がいっつも 遅刻スレスレみたいじゃないですかぁ」 「え!?」 その地球外生物を発見した的、見開いた目、 どうやら冗談ではなく本気で言われているようだ……
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