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二人は、拓がどこから何をしに来たのかを話したり、お互いの小学校のことを紹介しあったりした。
悠哉の案内に従ってしばらく歩くと、沢に出た。
キラキラと煌めく水面が眩しい。驚くほど透明な水は、中の石がはっきりと見えるほどだった。
「すごい、綺麗。」
拓は思わずつぶやいていた。
「ここはちょっと奥にあるから穴場なんだ。」
悠哉は自慢げに言った。
拓は浅瀬の水にそっと指を触れてみる。冷たくて気持ちがいい。
そのまま手のひらを広げて水の底につけた。夏の陽光を受けた透明な水の揺らぎが、拓の手の甲に描かれた。
二人は、魚を追いかけたり、林の中を探検したりと、時間を忘れて遊んでいた。
ふと、遠くから音楽が聴こえてくるのに気がついた。
「もう五時か。早いね。」
悠哉は寂しそうに言った。
拓も同じ気持ちだった。
「明日はさ、悠哉は、何してるの? 宿題忙しい?」
拓は思い切って聞いてみた。
悠哉は少し驚いたような目をして拓を見たあと、満面の笑みを浮かべた。
「明日も同じ時間に、ここにいる予定!」
「わかった。」
拓はにやりと微笑んだ。
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