夏の友達

7/13
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 二人は、拓がどこから何をしに来たのかを話したり、お互いの小学校のことを紹介しあったりした。  悠哉の案内に従ってしばらく歩くと、沢に出た。   キラキラと煌めく水面が眩しい。驚くほど透明な水は、中の石がはっきりと見えるほどだった。 「すごい、綺麗。」  拓は思わずつぶやいていた。 「ここはちょっと奥にあるから穴場なんだ。」  悠哉は自慢げに言った。  拓は浅瀬の水にそっと指を触れてみる。冷たくて気持ちがいい。  そのまま手のひらを広げて水の底につけた。夏の陽光を受けた透明な水の揺らぎが、拓の手の甲に描かれた。  二人は、魚を追いかけたり、林の中を探検したりと、時間を忘れて遊んでいた。  ふと、遠くから音楽が聴こえてくるのに気がついた。 「もう五時か。早いね。」  悠哉は寂しそうに言った。  拓も同じ気持ちだった。 「明日はさ、悠哉は、何してるの? 宿題忙しい?」  拓は思い切って聞いてみた。  悠哉は少し驚いたような目をして拓を見たあと、満面の笑みを浮かべた。 「明日も同じ時間に、ここにいる予定!」 「わかった。」  拓はにやりと微笑んだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!