2-(3) 選択肢

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 ゴミを捨て、ゆっくりと階段を上がり、部屋に戻る。  どういう顔をしていいのか分からずに、無理に笑顔を作ってから部屋に入ると、あきらがかがみ込んでベッドの下を覗き込んでいた。 「何してるんだ、あきら」 「うーん、エッチな本とかDVDとか隠してないのかなーって」 「は? そんなもの隠して無いよ」  ちょっと緊張していた自分との、あまりの落差に力が抜ける。 「そう? じゃぁクローゼットの中? もしかしてスマホに動画ためてる?」 「だからそんな大人が見るようなもの、俺は見たことないって。つうか、あきらもだろ? そもそもR18のものなんて高校生には買えないだろ」 「え……」  あきらが信じられないものでも見るような顔をして、俺を見上げた。 「何だよ、その顔」 「友哉って……大人ぶっているけど、実は中身が小学生だよね」 「はぁ? 中身小学生はあきらだろ。そんなこと言うってことは、お前はそういうヤラシイものを持っているってことなのか?」 「さぁ、どうでしょう」 「くそ、その言い方なんかムカつく。持っているんなら見せてみろよ」 「えー、やだよ。友哉にはいつまでも清らかでいて欲しいもん」 「清らかって何だ。バカにするな」 「バカになんてしてないよ。いいから、もう寝ようよ。明日、一乃峰にハイキング行くんでしょ」 「それは、そうだけど」  明らかに話題をそらされたのが分かって、なんだか釈然としない。  普通の高校生はそういうものを持っているものなのか?  俺は自分の世界がかなり狭いことを自覚している。ほとんど毎日学校と家との往復だけで、あきら以外に友達はいない。でも、あきらは学校に御子神を含めてたくさんの友達がいるみたいだし、俺の知らないことを色々と知っているということだろうか。 「ごめんごめん、嘘だから。俺もエッチなものなんて持ってないよ」  あきらがニコッと笑った。 「そうか……?」 「うん、ちょっとからかってみただけ。それより明日楽しみだなー、ハイキング」 「遊びに行くわけじゃないんだぞ」 「分かってるよ。その道切りっていうのを取り除いてみて、俺達がそこを通れるようになるのか実験するんだろ」  『あれ』の境界線と道切りの蛇の位置は、ぴったりと重なっている。それだけで、その道切りが『あれ』と関係があるという確証にはならないけど、偶然にしては出来過ぎている。 「通れるようになったらすごいよなー! まずはどこに行く? やっぱ東京? それともテーマパーク? いやもう二人で行けるならどこでもいいよな。一歩でも外に出られたら、俺、泣いちゃうかも」 「あきら、気が早いよ。まだ出られるかも分からないし、出られたら出られたで新しい問題が浮上するだろ」 「新しい問題?」
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