3-(5) 永遠に続く夜

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「嫌だ、そんなの絶対に嫌だよ……友哉の、目が……」  いつも俺のことを大事そうに見ていた友哉の目が。  いつも俺のことを愛しそうに見ていた友哉の目が。  いつも俺のことを世界の中心みたいに見ていた友哉の目が。  優しくて温かいその両目とも、俺のものだったのに。 「あぁ……うぁ……」  ひきつけを起こしたみたいに、呼吸がうまく出来ない。  喉の奥から、肺の奥から変な声が出る。  声と一緒にぼろぼろと涙が出ていた。 「いや……だ……こんなの、いやだよぉ……」  赤ん坊に戻ったみたいに、俺は泣き喚いていた。 「あ゛―、うあぁー」  泣き出したらもう止まらなかった。  泣いて泣いて泣いて、とにかく泣いて、ひたすら泣いて、悲鳴みたいに泣いて。  嗚咽で吐きそうになってもまだ泣いて、声がガラガラになるまで泣き続けた。  奪われたものの大きさに気が遠くなる。  どこで間違えた。  いつから間違えた。  俺の望みは友哉のそばで、普通の人間みたいに笑って過ごすことだけだったのに。 「う、うぅー……」  激しい悲しみに身を引き裂かれた後は、果てしの無い喪失感が襲って来る。  痛くて痛くて、正気を保っていられない。  誰を殺せばいい。何人殺せば気が晴れる。友哉をこんな風にした奴らなど一人残らず屠ってやる。  膨れ上がる怨嗟と痛いくらいの悲しみでグチャグチャになって、ガキみたいに泣きじゃくっている俺の背中を、いつのまにか友哉が優しく撫でていた。 「あきら、もう泣くな……」 「友哉のばかぁ、どうしてそんなに落ち着いていられるんだよぉ」 「落ち着いてなんかないよ。俺だって、さっきから『どうしようどうしよう』って、同じ言葉が頭の中をぐるぐるぐるぐる回ってる……けど、あきらがあんまり泣くから」  少し体を離して見ると、友哉の目元は濡れていたけど、口元は少しだけ笑っていた。 「どう、して……笑うの」
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