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自分の行動で結果的に傷つけた相手に対して罪悪感があるみたいで、友哉は顔を下へ向ける。
「ねぇ、友哉。友哉があの時助けに来てくれなかったら俺はどうなっていたか分からない。やっぱり友哉は俺のヒーローだよ」
つないでいる手をにぎにぎと動かすと、友哉はずっと握りっぱなしだったのを思い出したようにぱっと手を離した。
照れたように、頬がちょっと赤くなる。
「助けに行くのは当たり前だろ、兄弟なんだから」
そう言って、友哉は空中に握りこぶしを作った。
俺もこぶしを作ってそれにコツンとぶつけ、指と指をぐっと握り合って、手を広げてパチンと合わせる。
コツン、グッ、パチン、友情の合図。
視線が合わなくても息を合わせて合図しあう俺達を見て、雪華は眩しそうに目を細めた。
「もう誰に命じられても、けしてあんな馬鹿なことはしない。私は保護者としてあきらと、そして友哉君を守りたいと思っている。信じて欲しい」
「はい」
友哉は叢雲と碧空の方に顔を向けた。
「叢雲と碧空があきらと俺を守ってくれようとしているのは、ちゃんと感じます。だから、彼らを使う雪彦さんも本気で俺達を守ってくれようとしているのは伝わっています。俺は雪彦さんを信じます」
友哉はきれいな笑顔を見せた。
雪華は一瞬、呆けたように友哉に見惚れた。
「ありがとう……」
嬉しそうに言う雪華の目は、少しだけ潤んでいた。
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