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「ねぇ、友哉。おじちゃんとおばちゃんが何を言って来ても俺のそばにいてくれる?」
「いるよ」
「即答だ」
「ああ、あきらに『もういい』って言われるまでいるよ」
「じゃぁ、一生だね」
「なんでだよ」
「俺、『もういい』なんて言わないもん」
「いずれ言うよ。素敵な人が現れた時に」
「そんな人現れないよ、俺に近づくのはみんな偽物だから」
「大丈夫。いつか絶対に本物が見つかるから」
「なにそれ、予言?」
「そう、お兄ちゃんの予言。あきらみたいな良い奴にパートナーが見つからないんだったら、俺には一生無理ってことになるだろ。見つかってくれないと困る」
「あはは、なんだよそれ」
「あきらは必ず幸せになる。俺が保証するよ」
「そっか……じゃぁそれまでは、ずっとそばにいて。約束だから」
「分かった、約束する」
手を出してこぶしを作る。
あきらは俺の肩に乗せていた頭を起こして、こぶしをコツンとぶつけて来た。
コツン、グッ、パチン、友情の合図。
「はぁ、安心したら眠くなってきた」
「ああ、俺も眠いかも」
もぞもぞと布団に戻る音がして、大きなあくびが聞こえてくる。
「また怖い夢を見たら友哉におまじないしてもらわなくちゃね」
「バカにしたくせに」
「ううん、バカに出来ないくらいの効き目があったよー。怖い気持ちがふっとんだもん」
そう言いながら、あきらはまたクスクスと笑った。
「そんなに笑えるならもう怖くないな。さっさと寝ろ」
「はーーーい」
「はい伸ばし過ぎ」
「はいはい」
「はいは一回」
「はい! ふふ、お休み友哉、ありがと」
「うん、お休み」
しばらくすると、すぐ近くからあきらの寝息が聞こえて来た。
顔を横に向ける。
あきらの姿は見えない。
少し離れたところに大雅が見える。
本当の真っ暗闇じゃないことにほっとして、俺は目を閉じた。
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