(2)わたし、カリン、今あなたの後ろにいるの

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 小刻みに震えながら、彼女達は助けを求めるように俺を見てくる。  俺は安心させるように、うなずいてみせた。  「大丈夫、友達がそこにいるだけだ。振り返ってごらん」  俺が微笑んで見せると、二人は錆びついた人形みたいにぎこちなく振り返った。  一瞬、ふわりと空気が揺れた気がしたかと思うと、泣きはらした花梨の顔がぱっと明るくなる。 ―― 芽衣……瑠衣……会いたかった……! ―― 花梨! ―― 花梨、私も!  すれ違っていた互いの世界が、つながった瞬間だった。  女子高生三人が涙を流して手を握り合い、感情が溢れるように三人でぎゅっと抱き合っている。 ―― ごめんね、ずっと謝りたかった。 ―― ううん、わたしこそごめん。 ―― 瑠衣もごめん。 ―― 会えて良かったよー。 ―― うん、良かったぁ。三人一緒に帰れるね。 ―― うん、帰ろう。シャワー浴びたい。 ―― アイス食べたい。 ―― 瑠衣もー! 「あは、君達も仲良しだ」  俺にくっついたままで、あきらが笑う。 ―― 仲良し! ―― もちろん、仲良し。 ―― すっごく仲良しだよ。  弾けるように笑い声をあげて、そして、女の子達はふっと煙のように消えた。
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