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7-(4) 呪いを終わらせる
気付くと床が目の前に迫っていて、自分がどこにいるのか何をしていたのか一瞬分からなくなった。
多分、気絶しかけたんだと思う。
「うそ……」
全然力が入らなくて、床に這いつくばったままで呟くと、上から呆れかえった声が聞こえた。
「何をやっているの、あきらちゃん?」
俺は震える手を床について、必死に顔を持ち上げた。
「嘘だ…………」
呼吸がまともに出来なくて、ハッハッと浅くなっていく。
「ええ、なぁにぃ? まさかショックで倒れたの? あははは、本当にぃ? ええと、こういうの今は何て言うんだっけ? そうそうウケル、ウーケールー」
そいつは友哉の体を使って、絶対に友哉がしないような顔で爆笑した。
俺の両目からボロボロと涙が溢れてくる。
「うそ、だ……」
痛いくらいに心臓が打って、耳の中までどくんどくんと鼓動が鳴り響く。
「嘘じゃないわ。本当なのよ、あきらちゃん。あなたのお友達はもうこの世にいない。私が十年前の約束通りに食べちゃったの」
ガクガクと腕が震えて、俺はまた床に這いつくばった。
「友哉……」
強い眩暈がして床がぐにゃりと歪んで見えて、少しずつ視界が暗くなっていく。
友哉が俺より早く死ぬのは確実だった。
雪華もそう言っていたし、俺もそうだろうなと思っていた。
友哉はずっと俺を守り続けて魂まで傷付いていたし、俺は人より寿命が長いあやかしの血を引いていた。
友哉が先に死んだらどうするのかと聞かれた時、俺はなんて答えたっけ?
そうだ、世界を滅ぼすとかなんとか、そんなことを言ったんだった。
でも、無理だ。
俺は友哉が死ぬということの意味を、本当には分かっていなかった。
世界を滅ぼすとか、手当たり次第に殺しまくるとか、そんなことをするのは無理だったんだ。
だって体に力が入らない……。
まともに立つことも出来ない……。
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