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手首に結んだ髪の毛の気配をたどって、ハルと雪華が俺の元へ来た時にはすべてが終わっていた。
久豆葉ヨウコは勘違いをしていた。
俺は妖狐と人間の間にできた子供だから、妖狐の力は半分しかないと思っていたらしい。
でも、俺の体に流れる血は、ただの人間の血ではなかった。はるか以前に狼の魔物を式狼として屈服させた大賀見戌孝という稀代の術者の流れをくむ血だったのだから。
妖狐として顕現した俺の力は、彼女をはるかに凌いでいた。
俺は、自らの手で、自らの意思で、母親を殺した。
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