1-(6) 道切りの蛇

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 俺は吉野を振り返った。 「すまない、吉野。地図は明日持ってくるから」 「あ、待って下さい。せめて友達登録だけ。スクショでこっちの地図をとって送ります」 「スクショ?」 「ええと、とりあえずこの画像を倉橋君のスマホに送るので」 「分かった」  俺は吉野に教えられながらリンリンのアプリを入れて、友達登録をする。吉野が自分のスマートフォンを操作すると、俺のそれがピコンと鳴って画像が送られてきた。 「サンキュ。あっちの地図と照らし合わせてみるよ」 「はい、結果を教えてください」 「カップ麺、うまかった。ご馳走様」 「どういたしまして」  俺とあきらは吉野に見送られて部室を出た。  中庭に行くと、散らかしたはずの弁当はすでに片付けられていた。  教室に戻り、カバンの中の地図を出して見比べてみると、俺達が調べた『あれ』の境界線と、吉野が調べていた道切りの蛇の位置は、ぴったりと重なっていた。  あきらの顔色がますます蒼くなってきたので、教師に早退することを告げて、女子生徒に囲まれない内に急いで帰路につく。  家に帰りつくまで、あきらはずっと俺の制服の袖をつかんでいた。  無意識のようだったので、俺はからかったりせずにそのままにさせていた。  うつむくあきらの歩調に合わせて、ゆっくりゆっくり歩いていく。  あきらがひとりじゃなくて良かった。  俺がそばにいられて良かった。  また、心からそう思いながら。
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