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「そろそろ行こうか」
「うん」
そう言って立ち上がった。
「あったかいね~」
そう言ってまた笑う君。
周りの人の心を暖かくするような、そんな笑顔。
「私ね、カーネーションが一番好きなの」
そう言って、さっき摘んだ小さな一輪の花をみる。
「なんで?」
「だって素敵じゃない?いつか子供が出来て、母の日に貰うのが夢!」
いつでも笑顔。
無邪気に笑う君も、控えめに柔らかく微笑む君もとても綺麗で、そんなことを考えて触れたくなって手を伸ばす。
「え、」
でも、その手は君に届かなかった。
なぜか触れられなかった。
「どうしたの?」
不思議そうに振り向く君。
「なんで、」
「?」
首を傾げてこちらを見る君。
思わず自分の手を見つめる。
「届かない、、」
その時、急に波にさらわれ君を見失った。
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